1. 研究支援

 1) 網羅的遺伝子発現解析の支援

  細胞は、構成成分の恒常性の変化に対して、遺伝子発現を介して対応しようとする。その遺伝子発現の変化を網羅的に解析するために、DNAマイクロアレイを解析の支援を行う。

 具体的には、ヒトあるいはマウスの既知の遺伝子をすべてのせたGeneChip(下図)と細胞や組織からのRNAサンプルとのハイブリダイゼーションを行うことで、mRNAの発現量の違いを明らかにする。

図1 ヒト、マウス、ラットのGeneChip

 

関連機器:遺伝子発現解析システム

*問い合わせ先:医化学分野 高木助教(2215)

 

2)マウス等の行動解析の支援

 

マウス行動解析について助言、および装置使用の支援を行う。以下の装置が使用できる。

 

1 ビデオトラッキングシステム(カメラアーム・コンピューター)

2 八方十字迷路(マウス、ラット)

3 高架十字迷路(マウス、ラット)

4 モリス水迷路(マウス、ラット)

5 マウス用ホールボード

6 自発行動量測定装置一式(センサー、アンプ)

7 ランニングホウィール(マウス)

8 オープンフィールド(マウス)

 

*問い合わせ先:器官解剖学分野 大和田教授(2201)

 

3)DNAシーケンサー

 

遺伝子の分子クローニングやその改変を基盤とした分子生物学的な手技の際に、DNA配列の決定を行うことが不可欠となる。解析したいDNAとプライマーを用意することで、全行程4時間程度で配列決定を行うことができるシステムである。

図2 Applied Biosystems 3500ジェネティックアナライザ(8本キャピラリ)

 

*問い合わせ先:医化学分野 藤本充章講師(2215)

 

 2. 特殊技術のための研究機器

 1)リアルタイムPCRシステム: Step One Plus 

 ある特異的な遺伝子について、そのmRNA量の違いや変化を定量的に解析するための設備である。具体的には、細胞や組織からのRNAサンプルからcDNAを合成し、標識された遺伝子特異的プライマーを用いてPCR反応を行い、その産物を定量化する。内在性コントロールとの比較により、定量性の高い解析が期待できる。

 あるゲノムDNA領域に局在している転写因子等のタンパク質を定量化することもできる。そのために、まずクロマチン免疫沈降(ChIP、chromatin immunoprecipitation)を行う。具体的には、ゲノムDNAとタンパク質を架橋した後、超音波破砕機でゲノムDNAをランダムに断片化する。目的のタンパク質に対する特異抗体でタンパク質ーDNA複合体を免疫沈降する。この複合体に含まれるDNA断片を鋳型としてPCR反応を行い特異的なDNA断片を定量化する。この値が、当概DNA領域に局在するタンパク質量と相関している。

2)タイムラプス画像撮影システム

 Carl Zeissの顕微鏡、高感度冷却CCDカメラ、インキュベーターを搭載し、培養とイメージングに必要なすべての要素が一体化されており、信頼性の高いタイムラプスイメージングが安定した環境下で簡単に行える。また、蛍光タイムラプス画像取得が可能で、蛍光定量化のための解析ソフトウェアを内蔵することにより定量化まで行える。

3)遺伝子導入装置Nucleofactor 2b(LONZA)

初代細胞や遺伝子導入の難しい細胞株のニーズに合わせて設計された新しい遺伝子導入技術です。これは電気パラメーターと細胞の種類別の専用試薬との独自の組み合わせに基づいた非ウイルス性の遺伝子導入方法です。非ウイルス性ですが、DNAを直接核酸に導入することが可能です。したがって、神経細胞や静止期の血球などの非分裂細胞でさえも遺伝子導入できる能力を発揮します。最良の遺伝子導入条件は個々の細胞種によって決まります。

4)超微量分光光度計NanoDrop Lite(ThermoScientific INC)

患者検体等から得られた貴重な微量RNA又はDNAサンプル等の定量に使用をお勧めします。わずか1マイクロリッターを滴下するだけで濃度の測定ができ、キュベットが不要で、洗浄も拭き取るのみです。高濃度サンプルも希釈なしで測定可能です。